一般家庭の普通の高校生が世の中の大人に感動して起業するまで

母校の常総学院中学校で講演をした。



「高校で会社を立ち上げて…。」と言うと、多くの人に聞かれる。



「え、家族もじゃあそういう感じなの?社長とか?」
「高校がそういう感じだったとか?ITとか起業家教育的な」
「もともと頭良かったんでしょ?」


いや、父親はサラリーマンで母親は専業主婦。
いや、中高は9時間授業で国数英理社命。高校はPC室もなく、情報の授業は黒板を使って行われていた。
いや、中学入学時数学学年ビリ(笑)偏差値29(笑)偏差値って38より下存在しないと思ってた(笑)

まずはこのような偏見を《講演では》面白おかしく壊し、本題に入った。


たしかに、小学生時代はリーダーシップを頻繁に発揮し自信を持って生きていたから、「社長になりたい」だとか「王様になりたい」だとか「みんなをハッピーにしたい」だとかとてつもなく巨大な夢を持っていた。社長は多分なれるし、総理大臣にも頑張ればなれると思っていた。しかし、中学生になってから、大きな夢があることを隠すようになった。

もちろん、思春期の波にのまれ、中二病的なことは言いづらくなったというのもある。だが、当時の私の学年は「勉強ができる生徒がえらい。いい子。」という風潮が強くあり、自分には勉強の成績では計れない能力や個性があるのにここの社会では勉強ができないと評価がされないのか…と悲しくなり自己肯定感が低くなったことも原因の1つだった。


ただそこで拗ねても腐っても自分の人生。

ここで生きていくしかないのだから、ここのルールを飲み込むしかない。どうやらここの社会では勉強のできる生徒がえらい。ならば、勉強ができるようなればいい。でも、それで楽しいのか?気持ちいいのか?勉強は認められるためにするのではなくて、自分のためにするもの。

だから、自分は「心からやりたいこと(夢)を見つけ、それに向かって勉強しよう!」と決めた。「いま言われるままに勉強をさせられている成績のいい(受け身な)生徒にはゴールで勝つ!」と勝手に闘志を燃やし、敵視していた(笑) それまで毎年年度始めにある進路調査票には親が勧めたからという理由でしぶしぶ「薬剤師」と書いていたが、「 心からやりたいこと」と向き合うようになった。



まずはインターネットで調べる。

「年収高い 仕事」「資格 一覧」

そこにはいろいろな職業名が羅列されている。しかし、どれもしっくりこない。

なぜしっくりこないのか。

考えてみると、その職業名についている人はあまり見ないからだった。それは馴染みがないからしっくりこないという意味ではなく、働いている人の90%くらいが「職業名:会社員」なのに、残りの10%ほどの職業名を必死に調べていることのはおかしい行為だなと気付いたからだった。


そうとわかれば、やるべきことは職業名をググるのでなく、自分の心がビビッとくる何かを探すために社会に目を向けることだと気付き、ニュースを見たり、カンブリア宮殿を見たり、社会はどうなっているかを必死に知ろうとした。

その中でたまたま見た、あるコンビニの特集でおにぎりの開発について取り上げられていた。当時の私はおにぎりを開発すると言っても、舌の肥えたスペシャリストが美味しい味を研究して、その通りに工場で作って、各コンビニに並んでいるのかと思っていた。しかし、その特集ではターゲットの20代の女性のニーズを調べ、ヘルシー志向であることを掴み、健康的で栄養価の高いおにぎりを作るために大人が何度も話し合っていた。何気なく食べていたコンビニおにぎりに、スーツを着た大人の苦労がこんなにも重なっているのか!と感動し、これって何だろうと調べ、マーケティングという概念を知った。



そこで、企業やビジネスについて興味を持ち、もっともっと企業やビジネスについて知りたいと思い、Newspicksをインストールし、毎朝スクールバスの中で読んでいた。まだ考えが未熟な私にとって、親でも先生でもない第三の大人である社会人の方々のコメントはとても新鮮で、貪るように読んでいた。それまで私の周りにいる大人といえば、親や先生だけで、私を大切に思うあまり、保守的で安定な選択ばかりを勧め、リスクのある挑戦は反対された。薬学部でなく、経営学部を志望することすら大反対にあった。そこから、「若者は挑戦してはならない。」「若いうちはひたすら修行をする期間。」だと思い込んでいた。

しかし、Newspicksのコメント欄を見る限り、社会で活躍している大人は若者の挑戦に寛容で、むしろ応援しているほどで、私の中でのブレーキが完全に壊された。


それからも数々の講演会やイベントに足を運び、生の大人に触れようとしていたが、聞くだけでなくて実際に自分で行動してみようと思い、参加したものの中で大きな転機を与えてくれたのがStartUpWeekendTsukubaだった。Newspicksのコメント欄のようにそこにいる大人は気持ち悪いくらいに(褒め言葉)「行動すること」に価値を置いていた。これまでに足を運んだ講演でこれからの時代はITだと言われていたので、アプリかWebサービスを作りたいと思っていた。そこで、自分の中で今もそして今後も一生付きまといそうな「メイク(化粧)のやり方がわからない」という問題について解決するサービスを作ることになった。

StartUpWeekend自体は3日間のイベント。強く志したことに諦める選択肢はないので、イベントが終わったが絶対に事業化することに決めました。そんな思いだけの未熟な私に今のエンジニアの方がついてきてくださったので、高校在学中に株式会社FirstMakeを設立し、今月末(2017年2月)にメイク動画アプリ「FirstMake」のリリースも決まった。





こうして見事に変わることができたわけだが、中学時代は毎晩自分の生きる意味がわからず今思うとイタイくらいに病み(あの時のTwitter垢消してよかった笑)、自己肯定感もなかったので、「もしやりたいことを諦めている人がいたら諦めなくてもいいよ。」ということを伝えたかったというのと、私の周りには自分の人生なのに親や先生の言う通りの人生選択をしている子が多かったので「心からやりたいと思えること(それは決して職業名とは限らない。)を探す大切さ」を伝えたかったので、特に強調して講演をした。

自分も親の言う通りに薬剤師を目指そうとしていたし、中学生で自分の選択に責任を持つのは難しいので伝わっているのか不安でだったが、感想文を読ませていただいたところちゃんと伝わっていてとても嬉しかった!!!(以下感想文の一部)


・実は僕も会社経営に興味があったりして、今回内山さんの話を聞いて大変勉強になりました。最近は社長になるなどのことは諦めかけていましたが、今回の内山さんの話を聞いてまたその夢に目指して頑張ろうと思いました。(N君)

・僕は未だに夢が決まっておらず、内山先生と同じように親から医者や臨床検査技師などの医療系の仕事につきなさいと言われ、しぶしぶ目指していました。しかし、今日の講演でそんなの必要は無いと思うようになりました。(K君)

・私はまだ「心から自分がやりたいこと」が決まっていなくて不安だったけれど、今回のお話を聞いて先生みたいに夢を実現させてみたいなと不安より将来が楽しみになってきました。(Sさん)

・私は親や先生が言っていることを毎回やっていて「受け身」の人間になっていました。でも今後は自分の気持ちを大切にしてこれからのことを考えたいと思いました。(Mさん)


…(号泣)


自分はまだ何者でもない、少し夢の大きな女の子だが、これから大きな夢を叶えていく中で、今ある気持ちも薄れていってしまうかもしれないので、今ここにある気持ちは新鮮なうちに伝えたいと思った。


(生徒のみんなが書いてくれた感想文のファイル。これは一生の宝物。)

(記念撮影。)

内山恵梨香のBlog。

株式会社FirstMake代表取締役and東京理科大学経営学部1年生。内山恵梨香のブログです。 Facebookに書ききれないような長さのものを蓄積していきます。 (所属)株式会社FirstMake代表取締役・東京理科大学経営学部1年 (インターン)HPSA (運営)TEDxTsukuba・StartUpWeekend

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